向けられた視線の数に緊張したものの、遠藤先輩が話すとみんな視線をそらして、ちらちらとしか見てこなくなった。
同じクラスの不良男子たちよりも怖くなさそう…というか、少し理性的な感じで、ちょっとほっとする。
「おいで、優衣」
「あ、はい…」
振り返った遠藤先輩にうながされて、私は緊張しながら3年2組の教室に入った。
遠藤先輩が2年の不良男子に移動を頼んでいた私の机とイスは、そのあとすぐに運びこまれて、スクールバッグも元の位置に戻される。
さっきの教室と同じ、窓ぎわの一番うしろの席。
だけど、となりには遠藤先輩の席がある。
ドキドキしながら席に座ると、遠藤先輩がいるほうから電話の着信音が聞こえた。
「はい、もしもし。どうしたの、凛恋さん?」



