「いい子は、なおさら丁重に守ってあげないと」
笑うようにつぶやいた遠藤先輩は、階段の前の教室を通り過ぎて3年2組に入り、「みんな、ちょっといい?」と声をかけた。
私は、とうとう3年生の教室に着いてしまった…!と緊張して、おそるおそる視線を上げる。
教室のなかにいたのはやはり不良男子ばかりで、全員の視線が私に向いていることに気づくと、肩が跳ねた。
だけど、遠藤先輩がその視線を断ち切るように、ひらひらと手を振る。
「2年の転校生、俺が面倒見ることにしたから。うちの教室に通うけど、ビビらせないように頼むよ」
「え、アイドル…?超かわいくね…?」
「あの1年とはタイプちげーの?」
「こっちの子はかよわいお姫さま。かわいいから近づきたいのは分かるけど、俺らに慣れてないから、遠くから見守る感じでよろしく」
「「おう」」



