【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「…(けん)は、大丈夫かな」


「健って…弟?」


「あ、はい…弟は、従弟と同じ学校に転校するはずなので、学校にいなかったら従弟が気づくとは思うんですけど…」




 健はちゃんと従弟たちと同じ学校に転校できてるのかな…?

 どこか大変な学校に転校させられてたりは…。

 心配で口元に手をやると、となりから遠藤先輩のやさしい声が聞こえた。




「家族想いなんだね。こんな状況なのに、弟の心配をするなんて」


「そ、そんな…お父さんも仕事がなくなって大変だろうし、お母さんは天国にいるし…私が気にかけてあげないと、誰も気づけないかもしれないから」




 私は高校2年生になったけど、健はまだ中学3年生になったばかりだから、助けを必要としていたら助けてあげないと。

 ほめられるほどのことではないのに、遠藤先輩を見るとほほえんで私を見つめていたから、ほおが熱くなって視線をそらす。