階段を登りながら、となりにならぶように足を緩めてくれた遠藤先輩をちらりと見て、視線を落としながら答える。
「叔母さんの旦那さんって、いくつも会社を経営してる人で、いわゆるセレブな家庭というか。従弟たちも、小中高とエスカレーター式の名門校に通っているんですが…」
「うん」
「私と弟も、叔母さんの好意でいい学校に転校させてもらえることになって。私は女の子だからと、お嬢さま学校に転校させてもらえる、という…」
話、だったと思うんですけど…と、小さく続ければ、遠藤先輩の「え」とおどろく声がとなりから聞こえた。
改めて口にしても、当事者の私でさえよく分からない状況なんだよね…。
「もしかして、それで実際に来てみたら、滝高だった…とか?」
「…はい」
「…優衣って、その叔母さんとあんまり仲良くないの?」



