自然な名前呼びにも、守ってくれるという言葉にも、ドキッとする。

 遠藤(えんどう)先輩がどうして私にやさしくしてくれるのかは分からないけど…遠藤先輩みたいな人がいてくれてよかった。




「ありがとうございます…」


「ううん。こうやって裏でサポートするのが俺の役目だから」




 裏でサポート…?

 ほほえんで答える遠藤先輩を見てふしぎに思いながら、歩き出した先輩についていく。

 歩きながら、男子校かと思うくらい男子しかいない周りを見て、ここまでお嬢さま学校と正反対な学校もないだろうなぁ…と考えた。




優衣(うい)はどうして滝高に来たの?」


「え…あ、えっと、その。先月、お父さんが勤めていた会社が、倒産して…叔母(おば)さんの家に家族でお世話になったんですが…」