距離の近さにドキッとしつつ、遠藤先輩の指先がつまんだものを見て、首をかしげた。

 校章を集めるって…どんな意味があるんだろう?

 視線を上げると、遠藤先輩は私のえりに視線をとめて校章を外しながら、「うん」と答える。




「この学校、見た通り不良ばっかなんだけど、ケンカの腕で序列が決まっててさ」


「け、ケンカ…っ?」


「各クラス、トップのやつの校章を全員分集めたら、滝高トップに挑めるっていうルールがあるんだ」


「は、はあ…」




 ダメだ…私にはついていけない…。

 想像以上にぶっそうな学校だっていうのは分かったけど…。

 校章を外し終えて、私のえりから手を離した遠藤先輩は、私の顔を見て安心させるようにほほえんだ。




「大丈夫。優衣が巻きこまれることがないように、俺がちゃんと守るから」