【短】ふびん女子は、隠れ最強男子の腕のなか。



「あ、もしもし。3年2組の遠藤(えんどう)です。2年2組の女の子ですけど、うちで面倒見ることにしたので、よろしくお願いします。…はーい、それじゃ」


「あの…」


「あぁ、連れ回してごめんね。きみの名前、聞いてもいい?」


「えっと…笹森(ささもり)優衣(うい)です」




 受話器を壁に戻した遠藤先輩の質問に答えると、先輩は「優衣、か」とほほえんで私を見た。




「俺は遠藤(えんどう)知暖(ちはる)。滝高のナンバー2ってところかな。不良のなかに1人じゃ怖いでしょ?うちにおいで。守ってあげる」


「え…」




 きょとんとして、やさしいまなざしをしている遠藤先輩を見つめる。

 “滝高のナンバー2”って言われても、よく分からないけど…。

 不良男子から、遠藤先輩に守ってもらえるってこと?