教室のいたるところから、好奇の視線がからみついてくる。

 右を見ると、体と比べて小さく見える机にほおづえをついて、口のはしにピアスをつけた男子がじろじろと私を見ていた。

 逃げるように視線を左に動かせば、机の上に足を投げ出して座った男子が、薄い眉毛をくいっと上げて、にやにやと私を見ている。




「今日からうちのクラスに入る転校生だ。自己紹介を」


「は…はい…っ」




 教室のなかにいるのは、男子ばかり。

 そして、どう見ても“ワル”の形容詞がついて回りそうな不良しかいなくて。




笹森(ささもり)優衣(うい)です…あの…よろしく、お願いします…」




 どうとらえようとしても、叔母(おば)さんが言っていた“お嬢さま学校”に転校したようには思えなくて、私は青ざめながら、とても簡素(かんそ)な自己紹介をした。