そう言ってライナー様は私の手を取り、そこに口づけた。甘い雰囲気を隠しもせず、私に触れるライナー様の姿に、皆が息を呑む。普段クールで表情の崩さないライナー様の甘い表情に、令嬢達の頬が染まる。令嬢達はどうぞどうぞと言うように、一歩後ろに下がった。それを見たライナー様は私に手を差し伸べる。
「アメリア、ダンスの誘いに来たのだが良いか?」
「あの……私はこのような姿ですので、ダンスは……」
そう言いかけたと所で、シャルルが待っていましたとばかりに腕をまくった。
「アメリア様、準備は整っております」
そう言うと、私を大きな布で包み込み、一体どうやったのか、一気に布を剥ぎ取ると一瞬でドレス姿へと変身させた。
「すごい……」
思わずそう呟くと、シャルルがひっそり口角を上げたのが見えた。アメリアは蒼紺から青にグラデーションした美しいドレスに身を包み、ライナー様へと視線を向けた。ライナー様は驚いた顔をしていたが、すぐに顔を崩した。瞳と口は弧を描き、笑みを浮かべている。
「我が妻は美しいな」
そう言って私の腰に手を回し、エスコートしながら広間の中心に促された。
踊るのは確定らしい。


