陛下にそう言われ、私達はゆっくりと立ち上がり、皆の前に立った。

「皆様、今日はわたくし達のためにお集まり頂きありがとうございます。魔王討伐の際、確かに私達が討伐しましたが、アーサー殿下達の力がなければ討伐は難しかったでしょう。私達影の力だけでは魔王討伐は出来ず全滅していたと思われます。アーサー殿下達、勇者の力をお忘れ無きようお願いいたします。私達は英雄ではありません。私達は影、影から皆様をお守りする身。表にはアーサー殿下達がおります。しかし、ご心配のなきよう。何かあれば私達が影からこの国をお守りいたします」

 アメリアは黒装束のまま、胸の前でドンッと拳を胸に押し当てた。安心して私達に任せて欲しい。その思いを込めて、光輝く強い瞳で皆を見つめた。

 それを見た影達も同じように胸の前で、拳を胸に押し当たる。

 頼もしい影達の姿に、貴族達が歓声と拍手を送った。

「さあ、ここからは夜会の始まりだ。皆、楽しんでくれ」

 陛下の声で夜会が始まった。

 皆の視線が私達に突き刺さる。挨拶をしたくて仕方が無い。興味津々といった様子の貴族達が、わっと私達の方へとやって来た。

「アメリア様、お話しするのは初めてですわね」

「なんて凜々しい!アメリア様、素敵ですわ」

 令嬢達に囲まれてしまい、アメリアがたじろいでいると、そこにライナー様がやって来た。

「すまないが、我が妻を離してもらえないだろうか?こうして夜会に出ることは少ないのでね」