日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。


 きゅん……と、子犬の鳴き声が聞こえてきそうなライナー様の表情に、アメリアの心は一気にライナー様に奪われた。

「……か?」

「え?アメリア?今……何と?」

「少しでよろしいのですか?と聞きました」

「いや、その……正直に言えば、アメリアと仲睦まじい夫婦となりたいのだが……」

 それを聞いたアメリアは、今度はライナー様の両手を自分の口元へと持っていくと唇を落とした。まるで令嬢にするような、男前なアメリアの行動に驚いたライナー様が、全身を真っ赤に染めてしまった。

「あっ……アメリア……」

 動揺するライナー様が何だか可愛い。そんなライナー様に向かって微笑みを浮かべる。

「ライナー様は分かっておりませんね。私は始めてライナー様に出会ったあの日にあなたに恋をした。初恋でした。誰にも気づかれずに過ごしていた私を、あなたは見つけてくれた。それが嬉しくて、だからお茶会の日に言われた言葉は辛くて悲しくて、自分の気持ちに蓋をしました。しかしこの気持ちに蓋をしなくて良いというのなら……」

「アメリア、それでは……」

「私はライナー様をお慕いしております」

 ライナー様の瞳がキラリと光輝いた。普段冷たい青い瞳が希望に溢れ、表情がみるみるうちに崩れていく。

「アメリア愛している。君を絶対に離さない。幸せにする!好きだ、好きだ、大好きだ!」

 ランナー様は私を強く抱きしめながら、思いを吐露(とろ)し続ける。

「ちょっ……ライナー様落ち着いて下さい」

 私はライナー様の背中を軽くポンポンと叩きながら声を掛けるが、ライナー様の愛を囁く言葉は止まらない。