「俺はあの日、星をちりばめたような藍色の瞳の妖精に出会ってから、ずっと君に恋をしている」
私に思いを伝えようと、ライナー様の瞳に熱がこもる。その瞳があまりにも真剣で、私への思いに溢れていて、自然と私の瞳はライナー様に奪われてしまう。
やはりこの人は、この小説の世界の登場人物なのだ。言葉で人を引きつける力が尋常じゃ無い。
「アメリア……信じてくれるか?俺は君を妻に迎えられたことを嬉しく思っている。愛しているんだ」
ライナー様が私を愛している?
リリーナ嬢ではなく、私を?
めまぐるしく脳内に入り込んでくる言葉を、理解しようとするが、脳が処理する容量を超えてしまったのか、考えが上手くまとまってくれない。私は動揺を表情に出さないように注意を払いながら、ライナー様を見つめた。
私はライナー様に何と答えたら良いの?
正解が導き出せず無言で固まっていると、ライナー様が握り絞めていた両手を自分の唇へと寄せた。そして軽く口づけてから、寂しそうな顔をした。
「アメリアが俺に関心が無いことは分かっている。それでもこれから信頼関係を築いていきたい。恋に落ちて欲しいなんて言わないから、ほんの少しでいい……俺に感心を寄せて欲しい。少しで良い、俺を見てくれ。少しで良い、男として意識して欲しい。ほんの少しで良いから……」


