日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。


 キョトンとしていると、それを見たライナー様は自分の言葉が伝わっていないと思ったのだろう。必死な様子で私の両手を握り絞め、涙目になりながら訴えてきた。

「信じてくれ!俺は昔からアメリアのことが好きだったんだ!」

「昔から?」

 昔からとはどういうことなのだろう?

「そうだ。俺はアーサー殿下達と城の庭で遊んでいた時から、アメリアの事が好きだった」

「え?ライナー様は私と始めて会ったお茶会で、暗くて地味だとおっしゃいましたよね?」

「いや、それは君との約束だったから……」

「なんの約束ですか?」

「君と始めて会って話した日に、俺と会ったことは言わないでくれ、自分は地味にひっそりと過ごしたいと言っていただろう?」

 確かにそんな事を言った覚えがある。

「だからって、暗くて地味だなんて……」

「違うんだ!それは……俺が君にまた出会えたことが嬉しくて、動揺してしまって……。地味に暮らしたいと言っていた君の言葉を思い出して……思わずそう言ってしまったんだ。けして悪い言葉で言った訳では無いんだ。俺は子供だったし言葉知らずで、君にもう一度会って謝りたいとずっと思ってた」

 ライナー様は私との会話をずっと覚えていてくれたんだ。

 私の心の中に温かいモノが流れ込んでくるのを感じる。