するとそこに学友である、宰相の息子ライナー様と、騎士団長の息子ガゼル様がやって来た。

「アーサー、おはよう」

「朝からすげえな、何人の令嬢を倒してきたんだよ」

 ガゼルの言い方に殿下が眉をひそめた。

「俺は挨拶をしてだけだ」

「まあ、そうだけどよ。羨ましいぜ」

「何がだ」

 そんな軽口を叩く三人は幼馴染みだ。昔から仲が良く、王城の庭でよく遊んでいた。そんな私も彼らの幼馴染みだ。彼らは気づいていないが、私も一緒に王城の庭を駆け回っていた。彼らを守りながら完全に姿を消す隠密の魔法や、隠蔽の魔法を使いながら遊んでいた。父から「けして殿下達に気づかれてはいけないよ。これはかくれんぼだ。見つかったら捕まってしまうよ」そう言われていた。だから気づかれないように、少し離れて三人を見守った。そして時には危険からも守った。木から落ちそうになるのを風魔法で補助したり、池に落ちそうになるのを助けたり、男の子三人を隠れながら守るのは大変だった。

 それが影としての訓練だったとは思ってもいなかったが……。

 あの頃の遊びながらの訓練があったから、今は何の問題も無くこうして護衛が出来る。