私は隠蔽の魔法を掛けているため、認識阻害されている。皆からは見えているようで見えていない。それを良いことに、私は回りを見渡し、周囲を警戒しながらボソリと呟く。
「皆いるわね」
「はいっス!」
「はぁぁぁーい!」
「……ん」
「はい、こちらに」
近くから四人の声だけが聞こえてくる。隠密の魔法は完璧だ。私はその声を聞いてコクリと頷いた。
「ライズはアーサー殿下を護衛、カテリーナはリリーナ嬢を護衛。ボイスンは全体が見える天井へ。シャルルはそのまま私の側に。失敗は許されないわ。良いわね」
「「「「はっ!」」」」
四人が配置につき護衛が始まると、大広間の奥に王族が登場した。人々の視線は王族のいる方へと注がれるが、私達影の視線は四方八方へと向けられる。特に人が出入りする場所に視線を向けつつ、怪しい行動をする人物にも注意を払う。そんなアメリアの姿を見たライナーは、黙ってそれを見つめていた。そんな視線に気づいたアメリアは注意しながらもライナー様を見た。
「どうかされましたか?」
「いや。アメリア達はいつもこうやって俺達を守ってくれていたんだな」
後悔しているような、それでいて悲しそうな顔をしながらライナー様が弱々しく呟いた。


