「あの……ライナー様、集中したいと思いますので……その……話はまた後日でよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだな。今日の婚姻式を無事に終わらせることを優先させなければな」
「はい。そうですね」
私がそう答えると、ライナー様が私の腰に腕を回し引き寄せると、体を密着させた。
「この式が終わったら……その時は、君に話があるんだ」
「話し……ですか?」
「ああ、大切な話だ」
ライナー様は口角を上げると、私をエスコートして再び歩き出した。
大広の扉の前に着くと、数組の貴族が扉の前で待っていた。大広への入室は爵位順に行われる。子爵以下はそもそも呼ばれておらず、伯爵位以上の貴族のみが本日の婚姻式に呼ばれている。ライナー様は侯爵のため公爵家の前になる。この国に公爵を名乗る貴族は三組のみ、そのため最後から4組目の物登場となる。そのため、扉の前には数組の貴族しか残っていなかった。公爵位の方達はまだみえていないらしい。
私は隠蔽の魔法を掛けた状態で、扉前の順番待ちをしている貴族達の後ろに付いた。
待つこと数分――――。
ライナー様と私の名が呼ばれ大広間に入っていくと、キラキラと輝くシャンデリアの下に、色取り取りのドレスを着た令嬢、貴婦人達、ビシッとフロッグコートを着た男性達がお祝いムードで談笑していた。そんな貴族達の視線が私達に向く中、私達は颯爽と歩いく。
しかし全ての視線はライナー様へ。


