日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。


 驚かせようと思っていたのに、驚かされてしまったアメリアは、立ち止まったまま動けずにいた。そんなアメリアを見て、ライナーはゆっくりとアメリアに近づいた。

「アメリアが俺の色を(まと)ってくれるなんて思わなかった」

 そう言って嬉しそうに微笑むライナー様は、数日会わなかっただけで、とても成長したように見える。報告書でも、的確に的を射た質問などが多かった。

 こちらを心配させるような危うい感じが無い。

 この人は成長している。

 それをとても嬉しく思った。

 アメリアがライナーを見上げると、ライナーは頬を赤らめながらそっと腕を差し出した。アメリアはその腕に手を添える。

「さあ、もう時間だ。行こうか」

「はい」

 私はライナー様にエスコートされながら廊下を歩いていく。

「ライナー様、ここからは隠蔽の魔法を掛けます」

「ああ……そうだったな」

 ライナー様がジッと私の顔を見てきた。

 ん?

 どうしたのだろう?

 そう思いながら、ライナー様を見上げると、ライナー様の手が頬に触れた。

「こんなに綺麗なアメリアを皆に紹介できないなんて、寂しいな」

 へ?

 えっと……これは何と答えたら良いのでしょう?

 アメリアがフリーズしていると、ライナー様が眉を寄せた。

「アメリアは表舞台に立ちたいと思わないのか?」

 表舞台……。