日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。


 私は助けを求めて、壁際にいるシャルルに視線を向けた。しかしシャルルはスッと視線を逸らしてしまう。私を助ける気はないらしい。ライナー様は私が視線を逸らしている隙に、私の右手を取ると、指先に唇を落としてきた。

「今宵、君の部屋に行っても良いか?」

 それは……。

 何も答えない私にライナー様が悲しげに眉を寄せた。

「何もしないから……君の部屋に入れて欲しい」

 そんな表情は反則だと思う。

 私は一度目を伏せてから、ライナー様を見た。

「何もしないなら……」

「神に誓うよ。ありがとう」



 私はライナー様が来るのを部屋で待っていた。

 何もしないとライナー様は言っていたけれど、男は狼って言うし、気をつけなければと身構える。
 
 本当は夫婦なのだから身構える必要は無いのだけど……。

 そんな私の部屋にライナー様はやって来た。その手にはフルーツのカゴが……。

「ライナー様それは?」

「ああ、アメリアはフルーツが好きだと言っていたから用意した」