俺は始めて妻を直視して固まっていた。俺の妻はこんなにも美しかったのか?

 呆ける俺を見て、アメリアは俺の顔を覗き込むと、コテンと首を傾げてきた。

「ライナー様?」

 アメリアが俺の名前を呼んだ。それだけで歓喜で体が震える。

 俺は片手で口元を覆うと、表情を悟られないように顔を伏せた。

「何でも無い」

 そんな俺達を見て、アーサーとリリーナ嬢が微笑んでいたことを俺は知らなかった。

「さあ、お茶会を始めよう」

 アーサーの一声で、俺達は席に着いた。

 侍女が俺達のカップにお茶会注いでいく。良い香りがカップから溢れ出てきた所で、皆がカップに口を近づけた。

 その瞬間だった。

 アメリアが突然立ち上がり、リリーナ嬢のカップを叩き落とした。

 ガシャンッと音を立ててティーカップが割れ、唖然とするリリーナ嬢。

 「あ……アメリア!君は何をやっているんだ」

 俺が思わずそう叫ぶと、アメリアは澄ました顔で俺を見た。俺とアーサーは驚きのあまり、身動き出来ない。唖然とする俺達をよそに、アメリアが侍女の名を呼んだ。