今日も俺はアメリアと対峙していた。

「アメリア、なぜ君は俺に対しその様な態度なのだ」

「いえ、他意はありません」

 短い言葉にトゲを感じる。

 俺の態度がアメリアをそうさせていることは分かっているのに、どうすることも出来ない。

「相変わらず地味だな……」

 俺の言葉にアメリアの体がピクリと跳ねた。

 その瞬間、部屋の温度が数度下がる。

「何だ?」

 異変に気づき、俺は眉間に皺を寄せた。

「旦那様、それ以上失言されると、わたくしも我慢できかねますわ」

「何だと……」

「あまりおいたが過ぎると、後が大変ですわよ」

「どういう意味だ?」

 アメリアの口角がクイッと上がった。アメリアの表情が変わるのを見るのは初めてだ。いつもはぼんやりとした表情しか見せることの無いアメリア。そんなアメリアが俺の前まで来ると、扇で俺の顎を持ち上にあげた。

「旦那様……ですから、あまりおいたが過ぎると、子犬のように躾けてしまいますわよ」

「なっ……何を……」

 俺がたじろいでいるすきに、アメリアは含み笑いを見せながら去って行った。

 そんなアメリアの後ろ姿を見ながら、俺の体は熱くなっていた。

 なっ……何なんだ……。

 これが屋敷に閉じこもっていた俺の妻なのだろうか?もっと物静かで大人しい女性だと思っていたが、全てが想像とは逆だったようだ。

 俺はその場で力なくよろめいていた。