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私が家に引きこもっていても、ライナー様が咎めてくることは無かった。
私に興味が無いのね。
そんなある日、廊下でライナー様と鉢合わせしてしまった。ライナー様に会うのは久しぶりだ。久しぶりに会う旦那様に、私は澄ました顔で挨拶をする。
「旦那様、お久しぶりにございます」
たっぷりと皮肉を込めて、私に会いに来ないライナー様に向かって、カーテシーをして見せた。するとライナー様は眉間に見事な皺を寄せた。いつも表情の変わらないライナー様にしては珍しい。
「それは皮肉か?」
その通りだ。
しかしここでそうだと言えば、喧嘩になってしまう。
「何故そう思うの出すか?」
私は自分の胸に聞いて見ろとでも言うように、首を傾げた。するとライナー様の口から舌打ちが聞こえてきた。
「チッ、可愛げのない地味な女だな」
悪意のある言葉に胸の奥がチクリと痛んだ。
可愛げがないのはどっちよ。
それからライナー様と顔を合わせれば皮肉が飛ぶか、無視をされる日々。
そすがに堪忍袋の緒が切れそうですわ。


