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 魔王討伐から帰還した私達は、人々からの歓声を受けていた。

「勇者様ー!ありがとうございます」

「聖女様ー!ありがとうございます」

「勇者様パーティー、万歳!」

 多くの声は勇者様への歓声だ。その後ろを私達影は隠密の魔法を使って歩く。

「ちぇー。魔王倒したのはボスなのに、ずるいっスよ」

「ほんとよねぇー。あんなダサ勇者王子よりぃー、ボスの方が格好いいのにねぇー」

「……だな」

 影のメンバーにとって勇者様達の好感度は地の底ほど低い。この旅の合間に底なしに低くなってしまったようだ。

 それも仕方のないことだろう。

 あんなポンコツぶりを見せられればそうにもなる。

 大体魔王を倒した一撃も、聖剣が勝手にやった。自分達の力だって……脳内どうなってんだって話だ。だったら誰でも聖剣持って行ったら魔王は倒せることになるではないか。一体なんて陛下に報告するのだろう。

 人々に見守られる中、私達は王城に入り謁見の間へと通された。

 謁見の間には多くの貴族が集まり、その中心で頭を垂れる勇者メンバーを私達は見つめていた。そこに陛下が登場し声高らかに勇者達を褒め称えた。