勇者メンバーからは私が見えないため、聖剣がかってに魔王を倒したように見えただろう。

「ボス!終わりましたね。凄かったっスよ!」

「ライズ聖剣をありがとう。あなたの機転のおかげで助かったわ」

「えへへ。ボスに褒められて嬉しいっス」

「えぇー。ライズだけずるいぃー。ボスぅー。わたしはぁー?」

「カテリーナもよく頑張ってくれたわ。シャルルにボイスンもみんな良くやってくれたわ。皆は私の誇りよ。ありがとう」

 私達が喜びを噛みしめていると、勇者達がいる方から何やら焦った様な声が聞こえてきた。


「おーい。これどうする?」

「抜けないですね」

「抜けないな」

「でもこのままにはしておけないだろう」

 どうやら私が地面に突き刺した聖剣が抜けないらしい。

 そんなに力を込めて地面に差し込んだ覚えは無いのだけど……。

「あいつらまじポンコツぅー」

 呆れたようにカテリーナが言った。

「どうするっスか?ボス?」

「んー?どうにも出来ないから、ここから見守りましょう」

 それから半日、勇者達は聖剣を掘り起こす作業に入った。最初は代わる代わる聖剣を抜く動作を行っていたが、これではらちがあかないとふんで、聖剣を掘りおこすことにしたようだ。

「かっこ悪いぃー。なにあれぇー。あんなのが勇者とかむぅーりぃー。じれったいから私が抜いてくるぅー」

「ホントっスよ。ボス、俺が行って引き抜いてきて良いっスか?」

「ダメよ。もうすぐ終わるからもう少し待ちましょう」

「「げえぇぇーー」」

 ライズとカテリーナが、心底嫌そうな声を出した。そんな二人を見ながらシャルルがお茶を出してくれた。

「あなた達、無茶を言わないの。お嬢様を困らせないで下さい。ほらこれでも飲んで落ち着きなさい。お嬢様もどうぞ」

 手渡されたお茶は香りが良く、とても美味しかった。