地響きのような轟音と共に、砂煙が上がる。それと同時に爆風がやって来た。腕でそれを庇うとすぐに視界が広がり、私たちは息を呑む。目の前に立ちはだかる魔王の胸に、大きな風穴が空いていたからだ。それを見た4人は歓喜に震えていた。

「「「「やった!」」」」

 勇者メンバーが喜ぶ中、私達は咄嗟に判断した。
 
「まだよ!ライズ、カテリーナ、ボイスン!」

「「「了解、ボス!」」」

 魔王が最後の力を振り絞り、死の咆哮を繰り出した。物惨い量の瘴気が私達に襲いかかる。影達三人は一斉に前に飛び出し勇者メンバーを守る為の結界を張る。もちろんそれに勇者達は気づいていない。

「シャルルは私の援護を!行くわよ!」

「承知いたしました」

 私達は自分よりも数倍は大きな魔王に向かって走り出す。

「シャルル!」

 そう言うと、シャルルが私に向かって風魔法を放った。私の身体は魔王の頭上へと放り出される。そこにアーサー殿下の前にいたライズがアーサー殿下の手に持っていた聖剣を奪い取り、こちらに放り投げてきた。私はバランスを取りながらそれを受け取り、魔王の頭めがけて剣を振り降ろした。

「あ゛あああぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」

 リリーナ嬢が放った光魔法よりも大きな音を立てて、大地が轟いた。

「ドドドどおぉぉぉぉーーーーん!!!!」

 魔王を真っ二つにした私は剣を振りかざすと、地面に向かって突き刺した。

「ふうー。討伐完了」