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それから私たちは成長し、王立学園に通い出してから一年が過ぎたころ、王立学園に変化が訪れる。
リリーナ嬢の登場だ。
リリーナ嬢は転校初日に遅刻する。それを見つけ出し教室まで連れて行くのがアーサー殿下なの役目なのだが、何故か違う方向に向かう殿下。
「あー、もう何処行く気なの?仕方がない」
昨日の『先見の明』によると確かそろそろのはずだだから急がないと。私は殿下の行く方向に先回りし、立ち入り禁止の札を立てた。
「どうしたんだ?ここは先ほどまで通れたはずだが……」
そんな事を独りごちながら、殿下は来た道を戻っていく。するとナイスなタイミングで、ヒロインのリリーナ嬢が登場した。
「よしっ!」
思わずガッツポーズした私を、シャルルが苦笑いしながら見つめていた。
二人はゆっくりと愛を育んでいった。その合間にライナー様や、ガセル様がリリーナ嬢に思いを寄せていったが、リリーナ嬢が選んだのは、やはりアーサー殿下だった。
そして私達が16歳になった年、魔王討伐のための勇者パーティーが結成された。メンバーは勇者としてアーサー殿下、聖女としてリリーナ嬢、二人のサポート役としてライナー様、ガセル様の四人。何とも心許ないメンバーだが、その後ろには私を筆頭とする影のメンバー、シャルル、ライズ、カテリーナ、ボイスンの4人がついている。だから問題ない。
シャルルの実力は私に次いでかなりのものだが、ライズ、カテリーナ、ボイスンの実力もかなりの物だった。確実に勇者メンバーより実力は上だ。


