日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。


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 『先見の明』のおかげで、三人と私を引き合わせると言う話は流れたと勝手に思っていたが、そうは問屋が卸さない。とばかりにお茶会が開かれた。

 今日の私は隠蔽の魔法を解き、藍色の瞳を曇らせていた。アメリアは蒼紺の髪を下ろし顔を露わにした状態で、ソワソワと落ち着けずにいた。普段顔を見られることが無いから、不安で仕方が無い。そんな私を見てシャルルが頬を染めながら言った。

「お嬢様、可愛らしいですわ。藍色の瞳も、クリッとしていて、蒼紺の髪も艶やかで、青いドレスがとても似合っています」

「そうかな?ありがとう。でもホントに、ホントに変じゃない?」

「はい、何度も言いますが可愛らしいです」

 シャルルはそう言ってくれるが、不安で仕方が無い。もうすぐ三人とのお茶会が始まる。

 私が私として始めて三人の前に立つ。

 ライナー様は私に気づいてくれるかしら?

 私を女の子だと気づいたライナー様ならもしかしたら……。そう思っていた私だが、すぐに現実に戻される。

「お前……暗くて地味だな」

 ライナー様が私を見て、暗くて地味だと言った。

 10歳の女の子を傷つけるには十分な言葉だった。

 アメリアは俯くとその場から逃げ出した。

 お茶会に参加して1分にも満たない時間だった。

 挨拶もしていない。

 それなのに私はその場から逃げ出した。