ガゼルは今回の件で、王から褒美をもらえることとなったらしい。その褒美に欲したのが、カテリーナだった。しかし王は、ガゼルの片思いだけでは事は運べないと言ったらしい。しかしカテリーナを口説き落とせば、婚姻は認めると言ったようで、今回の求婚騒ぎとなったのだった。

 そして今日も屋敷の庭で、ガゼルとカテリーナの追いかけっこが繰り広げられていた。

「愛しのカテリーナ、どうして逃げる」

「追いかけてくるから逃げるんですぅー」

「愛しているんだ!」

「無理ですぅー」

 そんな二人の声が屋敷の庭に響き渡る。

 嫌がっているのだから止めれば良いのにと、ライナー様は言うがきっとそうじゃない。

 アメリアは何となく予想できている。

 あの二人が結ばれるのももうすぐだと……だって、カテリーナは隠密の魔法を使っていない。本気で逃げるなら隠密の魔法で姿を消し、逃げればいい。それをしないと言うことは、この追いかけっこを楽しんでいると言うことだ。

 
「ふふふっ……頑張れガゼル様」

「アメリアは楽しそうだね」

「はい。楽しいですよ。それに幸せだなって」

「そうだな。幸せだな」

 心地よい風を感じながら二人は微笑み合った。 

 そして愛していると囁きながら私達は唇を重ねた。




     * fin *