更に翌日――――。

「アメリアは知っていたのか?」

「いえ……なつかれたとは聞いていたのですが……」

 この会話の理由は、夜会の日に遡る。

 私達が夜会でダンスを踊っていた裏で、一騒動起きていた。

 それは……。

「愛しのカテリーナ、俺と結婚して下さい」

 大きな体躯を丸め、土下座をするのはガゼル・レイモンドだ。膝を付いてのロマンチックな求婚では無く、土下座。それを見ていた貴族達はドン引きしていたという。それもそうだろう。大きな体躯の男が小さな少女のようなカテリーナに、土下座で求婚を懇願しているのだ。引かないわけが無い。

 どうしてこんなことになったのか?

 それは最初の魔王討伐後、リリーナ嬢に振られ、冒険者として旅に出ていた彼は、何故か隣国で傭兵をしていた。振られたショックで自暴自棄になっていたのかもしれない。きな臭いこの国で死んでも良いとさえ思っていたらしい。やさぐれてうつろな目をしたガゼルの前に、影の仕事でガゼルを探していたカテリーナと出会った。