【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「本当に豊佳はなんでも美味しそうに食べるな」

「だって美味しいもん」

 翡翠さんの料理には、どれもたくさんの愛が詰まってる気がする。
 特に今日の料理は、いつもより何倍も美味しい。

「んー、ハンバーグ美味しい。……ん?」

 ハンバーグに何か違和感を感じた私は、スプーンからお箸に持ち替える。
 この変な違和感が何なのか気になり、ハンバーグの中をお箸でゆっくりと開いていく。

「……え?」

 な、なにこれ……? なんか袋に包まれてる?

「お、気付いたか」

「翡翠さん、これなに?」
 
 私はお箸でその袋を持ち上げる。

「気になるなら開けてみな」

「う、うん」

 翡翠さんに言われるがままその袋を少しずつ開けていく。

「……なにこれ?」

 袋の中から出たきたのは、さらに小さな袋だった。

「それも開けてみな」

「わかった」

 お箸を置き、さらに小さな袋を開ける。

「……え、また袋?」

 なにこれ? なんかマトリョーシカ的な? 

「じゃあそれも開けて」 

「うん」
  
 さらにもう一つの小さな袋を開けると、そこには……。

「……え?」

 え、なにこれ……?

「ゆ、指輪……?」

 一番小さな袋を開けると、そこに入っていたのは小さなダイヤの付いた指輪だった。

「あーあ、見つかっちゃったか。残念」

 状況がわかっていない私は、翡翠さんに「え……なになに? 翡翠さん、これはどういうこと?」と聞き返す。

「まだわからない?」

「え……?」