【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「翡翠さん、手洗ってきたよ〜」

「じゃあそこに座ってくださいな、豊佳さん」

「うん? うん、わかった」

 言われるがままキッチン横のイスへ座らされた。

「お待たせしました。俺特製とっておきハンバーグセットです」

 目の前のテーブルに翡翠さんが作ったご飯が置かれる。

「わー!美味しそう! カレーだ!」

「俺お手製ハート型ハンバーグカレーと、ハート型ガトーショコラ、野菜サラダでーす」

 本当だ。ハンバーグもガトーショコラもハート型だ! かわいい!

「なーに。かわいいんだけど」

「喜んでもらえた?」

「うん、ありがとう。 めっちゃ嬉しい」

「さ、召し上がれ」

 私は「いただきます」と手を合わせてカレーを一口頬張る。

「うん、カレー美味しい! これ手作り?」

「悪いな。カレーはカレールウだ」
 
 でもカレーってすごく美味しい。久々にカレーを食べた気がする。

「ハンバーグ食べるね」

 ハート型のハンバーグを割るのは申し訳ないけど、そのままスプーンを入れていく。

「うん、美味しい。これこれ」

 やっぱりこのハンバーグ最高に美味しい。どうやったらこんなに美味しくなるんだろう。
 本当にいつ食べても飽きないこの味。本当に美味しすぎる。

「ん、サラダも美味しい。ドレッシングが美味しいね」

「このドレッシングは俺の手作り」

「そうなの? え、ドレッシングめちゃくちゃ美味しい」

 ドレッシングが美味しいって、なんかいいな。食が進む気がする。