「お父さんにも認められたんでしょ?ハンバーグ」
「ああ、よく再現出来たなってビックリしてたよ」
それこそ、努力の賜物ってことだ。 翡翠さんが毎日一生懸命頑張って貫いた結果が、今なのだから。
「でも親父は、ちょっとだけ悔しそうだったな」
「え……?」
「いや。あの時さ、親父ば俺には出来なかったのに、お前には出来たってことは……俺にはその努力と愛が足りなかったってことだな゙って言ってたからさ」
翡翠さんはその言葉を聞いた時「じいちゃんのハンバーグの一番のファンって、本当は親父だったんじゃないかって思ったんだ。 だから本当は、あのハンバーグを一番作りたかったのは、親父だったと思う」と話していた。
「でも翡翠さんが頑張ったおかげで、あのハンバーグは復活したんだよね」
「ああ。前の喫茶店だった店を改造してリノベーションして今の店にして、じいちゃんのハンバーグを看板メニューとして出したら、なんかあっという間にバズったってことよ」
そんな話を聞くと、ますます翡翠さんはすごい人だと思えた。
「やっぱりすごいな、翡翠さんは」
「そうか?」
「すごいよ。私には出来ないよ、そんなこと」
これはもう翡翠さんとおじいちゃんが繋いだ奇跡だとしか言いようがない。
「私……翡翠さんと一緒にこのお店をずっと守りたいなって思うもん」
「……え?」
「翡翠さんが大好きなあのお店とあの世界一美味しいハンバーグを、ずっとずっと守り抜きたいなって思うよ」
私は翡翠さんの一番のファンだから。



