「とりあえず、今のところもう少し頑張ろうと思ってるけど、もしもの時は転職することを考えようかなって思ってる。……まあ、いつになるかはわからないけど」
翡翠さんはそんな私の頭を撫でてくれ、「豊佳の好きにしたらいいさ。豊佳の人生なんだし」と言ってくれたのが、心強かった。
「もし本当に転職先見つからなかったら、その時は俺が転職先になってやるさ」
「え? どういう意味?」
その意味が気になって、翡翠さんに聞き返すと「つまり、俺の奥さんってこと」と言われて驚いてしまって、顔が赤くなってしまった。
「お、奥さんっ……!?」
「つまり簡単に言うと、そういうことかな」
それって、結婚ってこと……!?
「そんな驚くことか?」
「いや、だって、急にそんなこと言うからビックリしちゃって……」
結婚……か。 もし今後私が転職先が見つからなかったら、私の転職先は翡翠さんの奥さんってことになるんだ……。
なんだかあまり実感はないけど、唐突に言われるとちょっと意識しちゃう気がする。
「俺は嬉しいけどね、俺の元に転職してくれたら。泣いて喜ぶけどな」
「大袈裟だよ」
とは言ったものの、内心本当に嬉しくてたまらないのは翡翠さんには内緒にしておこう。
「まあ、俺はいつだって本気だけどね」
「え……?」
「俺は豊佳といつか家族になりたい、って思ってるし」
私は翡翠さんの目を見つめると「ありがとう」と笑った。
私も翡翠さんと同じ気持ちでいるから、繋がってるみたいで嬉しい。



