「会社自体は悪くないんだけどさ、なんていうか……会社の治安的な何かが多分、そうさせてるのかなって思う」
「なるほどな……。まあ上の人間が変われば、やり方も変わるよな。もちろん考え方だって変わるのは当然だし、上司がしっかり部下のことをケアしてやらないと、そこは成り立たないと思うけどな」
確かに翡翠さんの言うとおりだ。上司が部下のことをどれだけケアしてあげられるのかで、そこはきっと変わるはずだ。
「上の方針なのは分かるんだよ?もちろん。 一つのことだけじゃなくて、色々と出来るようになってほしいっていう願いがあるんだろうけど」
最近部署異動になってから、仕事に対するモチベーションが上がらなくなっているのはまた事実ではあるのだけど……。
「豊佳がやりたかった仕事をしたくて会社に入ったのに、それが出来なくなって不満を感じるのは突然のことだ。 そもそも自分でやり甲斐がある仕事だと感じていたのに、それをなしされるのは、会社的にどうなんだうな。退職者を出すことになるリスクが高いだろ」
「……んん、まあね」
現に私と一緒に仕入れ担当をしていた榎本さんは、今退職することを考えているらしいし。
望んでもない仕事をさせられている感は、正直に言うと否めない。
「でもさ、転職するにしろまた一から探したりするのも大変なのは分かってるんだよね。 だからこそ、仕事は続けていきたいって思ってるんだけど……」
やっぱり受け入れていくのしかないのかな……。



