【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 この深刻な人手不足をなんとかしなければならないのは、翡翠さん自身もわかってはいるのだが、なかなか解消の目処は立たないそうだ。

「……ねえ、翡翠さん」

「ん? どうした?」

 私も翡翠さんに相談事があり、話すことにした。

「私も、翡翠さんに相談したいことがあるんだけど」

「相談? なんだ?」

「あのさ、私今……実は転職、しようと思ってるんだよね」

「転職……?」

 今の会社に勤めてもう四年になるけど、最近上司が変わったことで仕事のやり甲斐が減ってしまったことと、私自身も担当部署が変わってしまい、やりたい仕事に就けなくなってしまったことが理由にある。

「今の会社に勤めて四年になるんだけど、実は二ヶ月前から担当部署か変わっちゃったの。 元々仕入れ担当だったんだけど、仕入れ担当から外されちゃってさ」

「外された? どうしてだ?」

「……上司が変わったの。 しかも前の上司は結構いい人だったんだけど、転勤で地方に行ってしまってさ」

 翡翠さんは私の話を「なるほどな……」と聞いてくれている。

「でも新しい上司がさ、前の上司と比べるとちょっと怖くて厳しい人でさ……この間の人事異動で私も部署異動されちゃって、今やてんやわんやな訳よ」

「望んでもない、部署異動ってことか」

「うん。私は元々会社の仕入れ担当として入社したから、仕入れ以外のことはやったことがないの。 だから毎日てんやわんやで、正直仕入れ担当に戻りたいんだけどね……上に掛け合ったけど無理だった」