【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「ああ、一緒に観に行こう」

 私は翡翠さんに微笑むと「うん」と頷いた。

「翡翠さん、いつもありがとうね」

「ん?何がだ?」

「ううん。なんでもない」

 翡翠さんといると、心が休まるしホッとする。

「豊佳、先に風呂入ってきたら?」

「うん、そうしようかな」

 ちょうどお風呂も沸いたみたいなので、私はお風呂に入ることにした。

「俺この辺片付けとくよ」

「あ、ありがとう」

 翡翠さんは片付けをするとのことなので、私はお風呂に入った。
 しばらくしてお風呂から上がると、翡翠さんが何やらスマホを見ていた。

「翡翠さん、お風呂出たよ」

「ん? ああ、じゃあ俺も風呂入ってくるな」

「うん、ゆっくりしてきてね」

 翡翠さんがお風呂に入っている間、私は念入りにスキンケアをし、髪の毛にヘアオイルを付けてしっかりと乾かしていく。
 翡翠さんと一緒に夜を過ごすのはもう何度目だけど、いつも緊張する。 だけど身体を重ね合って肌を合わせている時は、本当に幸せで仕方ない。

「このままずっと、一緒にいれたらいいな……」

 私は翡翠さんのことが大好きで大好きで、仕方ないんだ。
 翡翠さんと初めて会ったあの日から、私はずっと翡翠さんに恋している。 

 龍樹に裏切られて何もかも失って、もうダメかもと思ったあの日、翡翠さんに出会わければきっと今の私はいなかった。
 翡翠さんとの出会いが、私を変えてくれた。 翡翠さんとだから、こうして今幸せな日々を送れていることは本当に奇跡だ。
 そう、これは奇跡だーーー。