【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。

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「いやーカッコよかったな〜。鳥飼(とりかい)くん」

 映画を見終わった後の余韻に浸っていると、翡翠さんが「鳥飼くんって、あの帽子の男?」と聞いてくる。

「そうそう。今回の映画では結構主人公並みの活躍してたし、カッコよかったな〜」

 いつも映画でちらっと出てくるだけだけど、今回はもう主人公並みに出てきているから私にとってはとても嬉しいことだ。
 本当にもっと観たかったな〜と思う映画だった。

「その、鳥飼くんってのが好きなのか?」

「うん、前からずっと好きなんだ。 なんていうか、サブキャラみたいな感じなんだけどね。時々ものすごくカッコイイ瞬間があって、そこにキュンとするんだよね」

「……キュン?」

 そっか。キュンと言われても、わかりづらいか……。
 
「翡翠さんって、このアニメの映画って観たことない?」

「いやー観たことあったとは思うけど、どんな内容だったかは覚えてないな」

「そっか。 私はね、毎年必ず観てるんだけど……毎年映画のクオリティが上がってきててさ、本当にすごいの。声優さんとかも豪華だし」

「へえ、そうなのか」

 翡翠さんも気になり出したのか、「結構面白かったな。爆破のシーンとか、結構迫力あったし」と余韻に浸っているようだった。

「爆破のシーンはすごかったね。映画館で観たらもっとすごいんだろうな〜」

「来年もし観に行くなら、一緒に行きたいな」

「え? 本当に?」
  
 翡翠さんからの映画のお誘い! やだ、嬉しい。