【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「あ〜お腹いっぱい。結構食べちゃったね」

「どれも美味かったな」

「うん、すごく美味しかった」

 翡翠さんとのデートはいつも美味しいものを食べることが多いけど、こうして美味しいものを食べている時は本当に幸せな気分になる。

「翡翠さん、この後どうする?」

「豊佳、どっか行きたいとこある?」

「んー……そうだなあ」

 少し考えてみるけど、どっか行きたいところと言われてもすぐに思い浮かばない。

「じゃあ、家で映画でも見ようよ」

「見たいものがあるのか?」

「うん。実は観たかった映画があるの」

 観たかったけどなかなか観に行けなかったし、DVD出てたはずだから借りて観たいな。

「じゃあ豊佳の見たい作品見るか」

「決まり! 行こう」
 
 二人で手を繋いで歩くこの瞬間は好きだ。翡翠さんの手は温かくて、優しい温もりでなんだか安心する。

「豊佳、何見たいんだ?」

「今年公開してたアニメ映画だよ。毎年観てるヤツなんだけど、今年は観に行けなかったから観たいなって思って」

「なるほどね」

 帰り際にコンビニに寄って、お酒やおつまみなどを購入した。

「あのワインも美味しかったよね」

「確かに美味かったな」

 私は歩きながら「今日はうちに泊まってく?」と問いかける。

「明日豊佳休み?」

 と聞かれたのですぐに「うん、明日は休みだよ」と返答する。

「じゃあ泊まってこうかな」

「わかった。 私、今日も一緒にいれるの嬉しい」

 私たちは手を繋いで再び歩き出した。