【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「やばい。めっちゃ美味しい」

「ね、お箸が止まらないね」

「うん」

 翡翠さんの作るハンバーグは、本当に美味しい。世界一美味しいハンバーグなことに変わりはない。
 私はこのハンバーグを初めて食べた時、世の中にこんなに美味しいハンバーグがあるのかと思ったくらい、美味しいハンバーグなのだから。

「烏丸翡翠のハンバーグって、なんでこんなに美味しいの」

「本当にそう思う。 どうしてこんなに美味しいハンバーグ、作れるんだろうね」

 聖乃はハンバーグを見つめながら「自分で作るハンバーグより遥かに美味しくて、泣けてくる〜」と冗談っぽく言っている。

「確かにこんなに美味しいハンバーグを食べさせたらさ、自分ではこんなに美味しいハンバーグを作れる自信は……ないよね」

 私の言葉に頷いた聖乃は「うん。……ないね」と答えた。

「でも、これはやっぱり食べる価値があるよ。 こんなに美味しいハンバーグを作る翡翠さんがいるから、このハンバーグは食べる価値があるなーって思う」

「そうだね。私は死ぬまでに絶対にまた食べたい」

「もちろん、私も食べる」

 あっという間にハンバーグを食べ終えた私たちは、ついでにデザートのガトーショコラまでぺろっと平らげてしまった。

「ガトーショコラも美味しかったね」

「うん、美味しかった。濃厚で甘すぎてなくて食べやすかったもんね」

「うん、そうそう。なめらかでしーっとりしてた」

 聖乃はガトーショコラが大好きだから、嬉しそうだった。