【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「大変、お待たせいたしました。希望の丘特製ハンバーグでございます。別添えのデミグラスソースをかけてご賞味ください」

 しばらくすると、注文したハンバーグが二人分テーブルに届けられた。

「うわ、美味しそう……!」

「やばっ!めっちゃ美味しそうだね!」

 あの日初めて翡翠さんと出会った時、初めて翡翠さんのハンバーグを食べた時にはあまりの美味しさに感動したほどだった。

「お熱いので、お気を付けて食べてくださいませ」

「さ、熱いうちに食べよっか」

「そうだね。食べよう」

 湯気のたつ熱々のハンバーグにナイフをスッと差し込むと、柔らかな肉汁が溢れ出してくる。

「いただきます」

「いただきます」
 
 肉汁たっぷりのハンバーグを一口口にすると、お肉本来の旨味がたっぷりと出てくる。

「ん……!? お、美味しい!」 

 これは、まさにあの時の味だ……。初めて食べた時に衝撃を受けたあの翡翠さんのハンバーグ。
 この美味しさは、本当に忘れられない。こんなに美味しいハンバーグを作る翡翠さんは、本当にすごいな……。

「やっぱり美味しい……。あの時の味だ」

「こんなに美味しいハンバーグ、私食べたことないかも。……お肉の旨味がすごい。デミグラスソースかけなくてもしっかり味が付いてて、むしろデミグラスソースかけなくても美味しいね」

「うん、確かにね」

 柔らかな歯ごたえなのにお肉の旨味しっかりしてるし、味付けシンプルなのに食べ応えがあって、このままでも充分に美味しいハンバーグだ。