「聖乃、聖乃にも本当に迷惑かけてごめんね」
「ううん、豊佳はなんにも悪くないよ。 悪いのはアイツでしょ」
聖乃は「烏丸翡翠の言うとおりだよ。豊佳はなんにも悪くないんだから、なんにも気にすることないよ。 豊佳はただ運が悪かっただけ」と優しい言葉を掛けてくれる。
「うーん……そうなのかな」
「そうだよ。たまたまそうなっただけだって」
私って本当に、運がない……のかな。
「私、翡翠さんが守ってくれることが嬉しいと思ってる。……でも、きっと守られるだけじゃダメだよね」
「……いいんじゃない?守られる側で」
「え……?」
聖乃は「守られる側でいいと思うよ。守ってくれる人がいるって、幸せなことじゃん?」と私に言ってくれる。
「そうなのかな……?」
「少なくとも、アイツなんかより烏丸翡翠のが豊佳のこと大切にしてくれるでしょ?」
「それはまあ……そうなんだけどね」
私がそう話したら、聖乃は「くうー。この幸せ者め!」と嬉しそうに言ってくる。
「豊佳は、豊佳らしくいればいいんだよ。 別に周りの目なんて気にすることないしね。 例え烏丸翡翠が有名人だとしてもさ、それは世間には関係ないからね」
「私らしく……か」
「そう。豊佳らしくいればいいのよ」
私らしくって、なんだろう……。自分でもわからないけど、とにかく翡翠さんの彼女として堂々としていればいいのだと聖乃に教えられた。
「豊佳には、本当に幸せになってほしい」
「ありがとう、聖乃」
「うん」



