「うん。龍樹に次に私の前に現れて私を傷付けるようなことをしたら、次は警察に突き出すって言ったんだって」
それを聞いた聖乃は「なるほどねえ……。豊佳のためにそこまでするなんて、烏丸翡翠はただ者じゃないわね」と頷いている。
「確かにね……。ビックリしたよ、龍樹と話すって言った時、大丈夫なのかなって思ってヒヤヒヤしたし」
「でも実際、大丈夫だったんでしょ?」
「うん。翡翠さんが守ってくれたから、もう大丈夫だよ。……もう龍樹も、私の前に現れることはしないと思う」
聖乃の話によると、私と龍樹が別れた後、聖乃はたまたま龍樹と会ったらしいのだけど。
龍樹は聖乃にも関係を迫っていたらしく、それを聞いた私は心底腹が立った。
「聖乃にも関係を迫ってたとか……マジで気持ち悪いんだけど」
「ねえ?豊佳との関係が終わって寂しいからって、私にも手を出そうとするとか……マジで笑える。これぞクズだね」
これは笑い話なんかじゃない。危うく聖乃も傷つくところだったと思うと、ますます苛立ちが募る。
「聖乃にもとか……本当に気持ち悪い」
「しかもさ、豊佳には内緒で付き合おうとか言われたんだよね。本当にキモくない?」
「はあ? 気持ち悪っ!」
元カレの気持ち悪さに吐き気がしそうだ。何より友達にまで手を出そうとしていた聞いて、気持ち悪いを通り越してもはや呆れている。
「豊佳、アイツマジで警察に突き出してやりたいね」
「うん、本当にそう思う」
アイツ、マジで地獄に落ちてほしい。



