【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「豊佳の気持ちはわかってるから。……だから、俺を信じてほしい」

「もちろん、信じます。 私には、翡翠さんだけだから」

 翡翠さんがいなければ、私はどうなっていたのだろうか。

「豊佳、元カレの連絡先……教えてくれ」

「えっ……?」

「俺が元カレと話すよ。だから連絡先、教えて」

 翡翠さんは私に、龍樹の連絡先を教えてほしいと言ってきた。

「そ、そんなの申し訳ないからいいよ。……それに、翡翠さんを巻き込みたくない」

 そう言ったけど、翡翠さんは「好きな女を傷付けられたんだ。俺は許せないんだよ、アイツが」と真剣な目で私を見る。

「どうしてっ……」

「俺は好きな女を傷付けられて、黙ってる訳にはいかない。……もう二度と、豊佳を傷付けるようなことがないように俺がアイツに言ってやる」

 翡翠さんはどうして、そんなに優しくしてくれるの?
 こんな私に優しくしてくれる翡翠さんを、ますます好きになりそうだった。
 やっぱり私、翡翠さんと二度と離れたくない。

「豊佳、アイツの行動は異常だ。 あれはどう見てもストーカーと同じ行為だ」

「ストーカー……?」

「そうだ。何かと理由を付けて豊佳に近付こうとしていただろ? それはストーカーと同じことだと、俺は思う」

 翡翠さんから見ても、龍樹の行動はやっぱりおかしいってこと……だよね。

「このまま放置してたら、アイツはきっとまた豊佳のことを傷付ける。……そんなことは、絶対にさせたくないんだ。俺が、豊佳を守るから」