私は龍樹を見つめながらそう伝えると、龍樹は「おい、彼氏ってなんだよ……」と私を見る。
「もう別れたんだから、龍樹には関係ないでしょ? 私に彼氏がいようがいまいが、龍樹には関係ないことだよね?」
私と付き合ってるくせにセフレがいて、それを私に押し付けたのは龍樹自身だ。
それを私にまた押し付けようとするなんて、おかしいし、普通に間違ってる。
「ちょっと待てよ。豊佳は俺が好きなんだろ? 俺のことが好きなのに、彼氏とか……意味がわからねえよ」
「はあ? あのさ、自惚れないでくれる?私はもうアンタのことなんて好きじゃないから。いい加減、私に付き纏うのはやめてね」
「付き纏う?……俺が?」
自分では、わかっていないんだな龍樹は。
「そうよ。あなたは私に付き纏ってるだけ! 私にはもう彼氏がいるの。その人は私のことを本当に大切にしてくれてる。……だからお願い、これ以上私の前に現れないで」
私はもう、龍樹になんかに振り回されたくない。
龍樹なんかに私の人生を奪われたくない。
私の人生は、龍樹のものじゃない。私のものだ。
「豊佳、俺はまだ豊佳のこと……愛してるんだ」
「ごめん龍樹。もうそんな言葉、二度と聞きたくない。……もう、私の未来に龍樹は必要ないから」
あの時、龍樹との時間を大切にしてたのは間違いない。でも今はそうじゃない。
私は龍樹とはもう完全に終わった。だからもう、龍樹との時間は私の中にはない。
「龍樹、悪いけど帰って。もう顔も見たくない」



