【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 龍樹からそう言われて「何言ってるの……?龍樹、頭おかしいよっ!」と言い返すけれど、「豊佳、俺とのセックス好きだって言ってただろ? 俺も久しぶりに豊佳としたいんだよ」と怪しくニヤリと微笑んでいる。

「ふざけないで!もうアンタなんて好きじゃなっ……んんっ!」

 両腕を押さえつけられ身動きが取れない状況の中、龍樹が私の唇を無理矢理奪ってくる。

「っ……やめてっ」

 やめてと抵抗するけど、龍樹は「豊佳だって俺としたいんだろ? そんなに嫌がるなよ」と私に言ってくる。

「やめてっ……アンタとはもうしたくない!」

「そんなに嫌がることないだろ。俺たち二年も付き合ってたんだからさ。 もう何十回もセックスしただろ?」

 龍樹は自分で何を言ってるのか、わかってないのだろうか。
 おかしいことを言っているって、わかってないのだろうか。

「ふざけないでよ!私たちの関係はもうとっくに終わったんだよ? 自分でなに言ってるかわかってる?」

「豊佳だってまだ俺のこと好きなんだろ? なら拒むことないだろ」

 そんな冷たい言葉を吐かれて、黙ってる訳にはいかない。

「セックスしたいなら、セフレとすればいいんじゃない! だって私とのセックス、つまらないんでしょ?」

「あー、アイツとももう終わった」

「終わったって……どういうこと?」

 だって私と付き合う前から関係を持ってたんだよね? なのに今さら……どういうつもりなの?

「知るか。アイツにフラレたんだよ」