【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。

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「翡翠さん、記事見たよ。すごいね」  

 翡翠さんにネットニュースの記事を、スマホの画面越しに見せる。

「いや、たまたまだって」

 照れているかと思ったが、そうではないようだ。

「すごい見出しだね。世界が注目するイケメンシェフ、烏丸翡翠!だって」

「そんな見出しいらないんだけどな。絶対に盛ってるだろ」

 翡翠さんはそんなことを言っているが、とある料理雑誌の特集に翡翠さんが載っていたのだ。
 しかも巻頭ページで、料理のことについてたくさん語っているのだ。
 
「翡翠さんがすごい人だから、私なんかが隣に居ていいのかなって……思っちゃう」

 私がそう伝えたら、翡翠さんは「豊佳、安心しろ。 俺の隣りに居ていいのは、豊佳だけだ」と私の頭を優しく撫でてくれる。

「ん……ありがとう、翡翠さん」

「俺はどんな時も、豊佳のそばにいる。豊佳のことが好きだから」

 翡翠さんから優しいキスをもらうと、心があったかくなる気がした。

「翡翠さん……大好き」

「俺も豊佳が好きだ」

 翡翠さんが今度はもっと甘くて深いキスをくれるから、私もそれに応える。

「豊佳……俺をもっと求めて」

「翡翠さんっ……」

 私は翡翠さんのことを求めてしまう。どうしてなのかわからないけど、求めたくなる。
 大好きな翡翠さんの隣にいられるだけで幸せなのに、こんなに求めてしまっていいのかな……。
 私って贅沢なのかな、こんなに翡翠さんのことを求めるなんて……。