【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「烏丸翡翠の彼女になったんだから、これからは幸せになりなね。 自信持ちなよ」

「うん。ありがとう」

 自信か……。翡翠さんという新しい彼氏が出来たことは嬉しいし、やっぱり幸せ。
 だけど私は、また傷つくことが怖い。 あんな思いは、二度としたくない。

「今度ね、翡翠さんにお店にハンバーグ食べに来てって誘われたの」

「え、本当に? いいな〜」

「友達も誘って来ていいよって言われたから、聖乃一緒に行こうよ」

 私がその言葉を言った瞬間に、聖乃は「えっ!ウソ!本当に!? 行く行くっ!」とテンションが上がっているようだった。

「今度行く日決めよう。翡翠さんに連絡するから」

「うん、うん。なる早で行きたいね」

「うん、確かに。そうだね」

 まだ翡翠さんのお店に行ったことはないけど、翡翠さんのハンバーグを初めて食べさせてもらったあの瞬間から、私は翡翠さんのハンバーグの虜になった。
 あんなに美味しいハンバーグを作れるのは、翡翠さんの人柄や優しさがあるからだと思う。
 あの美味しいハンバーグっていうのは、翡翠さんにしか作れないからこそ、世界一のハンバーグなんだと思う。

 感動するほど美味しいハンバーグだった。 それを食べさせてもらった私は、本当にラッキーだったのかも。
 まるで奇跡としか、言いようがない。

「豊佳、また烏丸翡翠の話、聞かせてね」

「あ、うん……わかった」

「じゃあ、またね」

 電話を終えた私は、スマホをテーブルに置きそのままベッドに横になった。