【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 聖乃は「豊佳、おめでとう!豊佳に新しい彼が出来て、私は嬉しいよ。 烏丸翡翠と幸せになって、あんなクズ男のことなんて忘れな!」と嬉しそうに言ってくれた。
 
「う、うん。ありがとう、聖乃」

「いい?烏丸翡翠と幸せになって、見返してやりなよ、豊佳」

「うん、ありがとう」

 聖乃が祝福してくれたこともそうだけど、翡翠さんがめちゃくちゃ忙しい人だとわかって、ちょっと困惑してる。
 私みたいな女が、翡翠さんに釣り合うだろうか……。翡翠さんは業界では有名な人だ。
 それなりに女性にはモテていることは間違いないだろうけど、どうして私を選んでくれたのかな。
 その理由が気になるけど、私はきっと怖くて聞けそうにない。

「豊佳、大丈夫?」

「あ、うん。大丈夫」

「ねえねえ、それよりさ」

「ん?」

 そんな私に、聖乃は「豊佳、烏丸翡翠とセックスした?」と聞いてくるから、思わず飲んでいたお茶が溢れてしまった。

「な、な、何いきなり!?」

「えーだって気になるじゃん! セックス、したの?」

 私は隠す訳にもいかず、正直に「……した」とだけ答えた。

「やっぱりね。そうだと思った」

「ど、どうしてそう思ったの?」

 私、もしかしてわかりやすい……?

「豊佳の声がなんかエロくなってたから」

「え、エロっ……!?」

 エロくなってたってなにっ!?

「ちょっと、何それっ」

「なんか豊佳の声、この前より色っぽくなってる気がしたからさ」
   
 え、そうかな……?