【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「昨日、たくさん俺の名前呼んでくれて嬉しかった」

「……だって、烏丸さんが名前で呼んでって言うから……」 

 名前で呼んでほしいと言われて最初は恥ずかしかったけど、呼んでいくうちに身体にも馴染んできた気がした。

「豊佳が素直に受け入れていてくれたからだ」

「っ……でも、烏丸さんも私の名前、たくさん呼んでくれたから……嬉しかったです」

 豊佳と読んでくれるその声が心地よくて、私の頭は烏丸さんでいっぱいにさせられた。
 【俺を見て】と甘い声で囁かれたから、私は素直に烏丸さんに従っていた。

「豊佳、好きだよ」

「……はい」

 悔しいけど、私も烏丸さんのことが好きだ。本当は多分、初めて会った時から烏丸さんに惹かれてたのかもしれない。
 あの日烏丸さんが声を掛けてくれなかったら、私はきっと今も失恋したショックから立ち直れなかっだろうな……と思う。
 烏丸さんからあの日キスをされた時、ビックリしたけどイヤじゃなかった。 

「豊佳、した後でこんなこと聞くのもあれなんだけどさ。……俺のこと、好きになってくれた?」

 そう問いかけられた私は、「はい。……好きになりました」と答えた。

「ありがとう、豊佳。俺も好きだ」

「烏丸さん……」

「だから、翡翠って名前で呼んでくれ」

 私が再び「翡翠……さん」と名前を呼ぶと、烏丸さんは私を再びベッドに押し倒して、キスをする。

「ん……翡翠、さんっ……」

「豊佳がかわいいのが悪い。 もう一回俺に抱かれろ」