烏丸さんに抱かれた時、私は本当に嬉しかった。烏丸さんで頭をいっぱいにされて、幸せだと感じてしまった自分がいて、自分が自分じゃないみたいだった。
「豊佳の寝癖も、かわいいな」
起き上がった私に烏丸さんがそう言うから、私はつい「やだ、寝癖付いてますか?……恥ずかしい」と髪の毛を手ぐしで直していく。
「そういう自然体なところも、俺はかわいいと思うよ」
「……ありがとうございます」
嬉しいやら、恥ずかしいやらだけど、こうして烏丸さんと一緒にいれて嬉しいのは確かだ。
「豊佳、豊佳とのセックス、つまんなくなかったよ」
「……え?」
烏丸さんは私の頬に手を触れ、撫でるように優しく包み込んでくれる。
「豊佳、元カレにセックスがつまらないって言われたって言ってただろ?」
「……あ、はい」
あの言葉はずっと忘れそうにないかもしれない。
「あの言葉はウソだ。 俺は豊佳とのセックス、すごく良かったし、すごく気持ち良かった。だからあの言葉はウソだ」
「烏丸さん……」
私の唇にキスを落とした烏丸さんは、「つまり豊佳と俺は、身体の相性がいいってことだよな?」と私を見つめる。
「……正直、私も気持ち良かった……です」
龍樹とのエッチも気持ち良かったと思っていた。実際気持ち良かったと感じていたのは事実で。
だけどそんなの比べ物にならないくらい、烏丸さんとのエッチの方が気持ち良かったと感じた。
本当に幸せで幸せで、仕方なかった。



