【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 その目からなぜか離せなくて、私はただ烏丸さんのことを見つめるしかなかった。

「あの……私のことからかってるなら、やめてください」

「からかってない。……言っただろ、本気だって」

 烏丸さんは私の身体をグッと引き寄せる。

「……っ! か、烏丸さんっ……?」

 今にもキスが出来てしまうのではないかというくらい近い距離に、ドキドキしてしまう。

「豊佳……俺のこと、好きになれよ」

 烏丸さんは私の顔をグッと引き寄せて、私の唇にキスをしたーーー。

「えっ……か、烏丸、さん……?」

「どう?好きになった?」

 烏丸さんはなんで、こんな私に優しく接してくれるのだろうか。

「……な、なってません」

 龍樹と別れた私をからかってると思ってる。 でも烏丸さんは違うって言うし、何が本当なのかわからない。

「じゃあ俺のハンバーグは、好きになった?」

「……それは、はい。好きになりました」

 烏丸さんの作るハンバーグは本当に美味しくて、一口で虜になったのは間違いない。
 このハンバーグのファンになったことは、間違いない。 こんなに美味しいハンバーグを作れる烏丸さんは、すごいと思う。
 
「じゃあ俺のことも、好きになるな」

「……なんですか、その自信」

 その自信がどこから来るかわからないけど、烏丸さんのおかげで少し元気になった気がした。

「豊佳、もう一回キスする?」

「し、しません!……もう、からかわないでください」

 私は、烏丸さんと恋……するのかな。